『愛遊記』
第二十一回「誕生!新鍵垢法師」
《この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません》
「あ、法師様!おかえりなさい。決闘どうでした?」
「うむ。今後ネトウヨたちは私を侮ることはないだろう。それくらいのことはしてやったさ」
ちょっと盛っているようにも思えますが、法師の話はあながち嘘とも言い切れません。
「うわあ、ネトウヨにかましてやったんですね!ホンマすごい!」
というか、やっと一般的な水準になっただけに過ぎませんが、
それでもものすごい改善ですので、そのギャップが法師がとても素晴らしい人物になったかのような錯覚を、
以前の法師を知る人々に与えていたのです。
「法師様、これからどうするんですか?急いで帰ってらっしゃったようですけど?」
鈍悟浄が期待を込めて聞きます。何か法師が以前のようなしょうもないようなことではなく、
もっと意味のあるような方向に導いてくれるのではないかと思ったのです。
「またあの霊石で修業をしようと思う。
そうすれば…世間は私をあがめるようになり、ネトウヨどもを屈服させられるに違いない!」
法師の目に希望が満ちに満ちて、輝いています。
すると弟子たちも「やりましょう。すぐにやりましょう」といって、
そして、霊石に駆け寄ると、前回と同じように合掌し、目を閉じて強く念じます。
(念じます。世のため人のため、煩悩から脱却しに再び此処へ参りました。
「八戒さん、法師様すごく気合が入ってますね」
「そうですね。なんか鬼気迫るような感じですわ」
しばらくすると、前回と同じように法師から黒い霧のようなものが立ち上りました。
その状況が数分間にも及んだので、さすがに弟子たちも心配になってきました。
「あれ、大丈夫なんですかね?ヤバくないですか、なんか」
更に数分が過ぎました。
「あーっ!今、法師様が岩に吸い込まれていきませんでした?!」
八戒が法師を指をさして驚いています。
なんと、法師の身体から幽体離脱したかのような半透明の法師の姿が浮き上がり、黒い霧と一緒に霊石に吸い込まれていったのです。
そして次の瞬間、法師から前回よりも鋭い閃光が発せられたのです。
「うわ眩しっ!」
閃光で眩んだ目が元の視力を取り戻すと、弟子たちの前にとても身なりが立派な僧侶が立っているのに気づきました。
見るからに徳が高そうで、神々しささえ感じられます。
「えっと、どちら・・・様ですか?」
八戒がおそるおそる聞いてみると、その僧侶はにこにこと微笑みながら、
「わかりませんか?」
と逆に聞いてくるのです。
八戒と悟浄が顔を見合わせていると、その僧侶は答えました。
「私ですよ。鍵垢法師です」
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残念ながら違います。
さてさてどうなるのでしょうか?