『愛遊記』
第十四回:「垢共有の法」

鍵垢法師は今や108にまで増えてしまった複垢の管理に悩み始めていました。

IMG_2958


複垢のメインはもちろん山悟空でしたが、様々な複垢を操って通報工作をしていれば、
悟空がフリーズしている時間が増えて、不自然です。

それに加え、法師は合蛇界隈も鍵垢と悟空の関係に気付きつつあるのではないかと懸念し始めました。

FullSizeRender


実際、あの憎たらしい青刃と交戦した際にも、悟空のフリーズを指摘する野次馬がいたような気もします。

これまで悟空を使って合蛇を誹謗中傷してきた経緯があるので、
仮に悟空が法師の分身であることが発覚すれば、大変なことになるという予感もしていました。

悟空の稼働時間の向上と正体の隠蔽という二つの課題は、一体どう解決すべきものなのでしょうか。
何らかの対策をしなければなりません。

「さて、どうしたものか…」
法師は座禅を組んで、深い思考に、自分の世界に入り込んでいきました。


AMEMAN314017_TP_V4

目を閉じるといつものように、今まであった様々な悔しいことが頭に浮かんできて、
ひっくり返ってじたばたしたくなるような衝動に襲われますが、
なんとか雑念を振り払って集中力を高めていきます。

黄八戒や鈍悟浄が何度か声をかけましたが、法師は全く返事をしません。

「法師様なにしてはるんやろ・・・」

IMG_0456


などと八戒は気に留めている風ですが、
「またしょうもないことで悩んでるんじゃないんですかね」
悟浄の方が辛辣です。

長い思考の後、法師は一つの結論に至りました。

(そうだ…垢共有の法だ!)
垢共有の法とは、複垢を鍵垢法師以外にもコントロールできるようにするものです。

これは妙案です。この方法を使えば、法師と悟空の同時行動が可能になりますし、
いざというとき、八戒と悟浄あたりに責任をなすりつけることもできそうです。


28ce4cef3e5a9a684d975c4c7d1f61e6_s

そして例のごとく、これも外法・邪法の類なのですが、法師はすっかりその辺の感覚がマヒしていたのです。

「八戒!悟浄!ちょっと来てくれるか?」
と弟子たちを呼びつけると、
「これからお前たちに面白いものを体験させてやる。

 まずは八戒だ!悟空の額に手を載せるんだ。早くしろ」

八戒の訝し気な表情を無視して法師はぶつぶつと念じました。
「糞便糞便~・・・糞便!」


FullSizeRender

するとたちまち無表情だった悟空の顔に生気が蘇りました。

「八戒、どうだ悟空の『中』は?」

386852


「なんや?あれ??なんで俺が見えるんやろ・・・?」

「ふん、察しが悪い野郎だ。今お前はな、悟空の中に入ってんだよ!」

「ホンマですか?!なんすかこれ、気色悪っ!」

「あっ?なに?なにこれ?」
悟浄も輪にかけて馬鹿なので状況を理解していない様子です。

PPS_tenimotusakuranbo_TP_V4


「ほら!今度はお前!悟空の額に手を置け」
法師はイライラしながら悟浄に指示を与えました。

FullSizeRender


「・・・なるほど、今度は僕が悟空さんの中に入っているんですね」
ようやく悟浄が把握すると、法師はドヤ顔で種明かしをしました。

「そうだ。これは垢共有の法と言ってな。お前たちも悟空を操作することができるようにした」

「うわ~すごいじゃないですか~!」

「術が使えるようになるなんて、思ってもみませんでしたよ!」

そのとき、法師がやや歪みのある笑いを浮かべていることに、八戒も悟浄も気づいていませんでした。

今まで法師から受けてきた散々な仕打ちを思えば、法師が何かを始めたら裏の意図を探って警戒すべきですが、
すぐに鍵垢法師という男が全く信用のならない人物ということを忘れてしまうのです。馬鹿なので。

「よし、これからはお前らにもしっかり働いてもらうからな!」

悟空に成りすまして合蛇にどんなことをしてやろうかと、八戒も悟浄もウキウキしていました。

一方そのころ、悪鬼の新たな居となった怨念の砦では、
盗賊青刃から合蛇夏鬼に鍵垢一行との交戦に関する報告が行われているところでした。


FullSizeRender

FullSizeRender


「ちょっと突っついてきましたけど、アイツら超馬鹿ですよ。
 異邦人が迫害されてるのに助けようともしないし、
 自爆するし、味方の背中を撃つし、山悟空はフリーズしてるしw」

IMG_3060

FullSizeRender


「山悟空はどう見てもあれだよなw」

「ですよねー。で、今日も山悟空が活発に動いているようですが。これ見て下さいよ。
 なぜか山悟空が関西弁になってるんですけどw」

「マジかよwww」

「もうちょっとうまくやれっつーのwww」

「それで合蛇さん、あいつらどうするんですか?」

「さすがにそろそろほっとくわけにはいかないよ。対応する」

FullSizeRender



「といいますと?いよいよ打って出るんですか?」

「本格的対応はもっと後だね」

FullSizeRender


「もっかい私に行けとかはなしですよ。マジ勘弁なんですけどw」

「だから次回はうってつけの人物を派遣してプレッシャーをかけてやろうと思ってる」

「オクトパス・キムさん?」

FullSizeRender


「うーん、彼も悪くないが、彼が行くと連中への打撃になるより、全体的に面白い感じになっちゃうからなー」

「確かにそうかもしれない・・・で、誰なんです?」

「正義の味方さ」

FullSizeRender


「正義の味方ぁ?意味深だけど期待が持てそう」


FullSizeRender

青刃は首をかしげるばかりでしたが、答えをはぐらかした合蛇は意地悪そうに笑っていました。

次回予告:第十五回『ライダーマーズ』
リリース予定(たぶん、近いうち)