『愛遊記』
第十二回:「悪鬼凍結」

《この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません》

天王寺の変の数日後、鍵垢法師一行の雰囲気は微妙な感じになっていました。

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特に黄八戒は以前よりも反抗的な態度を表していました。

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法師が早朝のお勤めをしていると、
「お勤めするときはうるさいからドア閉じといて下さいよ!こっちは寝てるんですよ!」

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などと怒鳴り込んできたのです。僧侶の弟子にあるまじき態度でしたが、法師は八戒の気合いに押され、「わ、わかった、すまない」

と素直に従ってしまったのです。法師が下手に出ているのことに更に調子に乗ったのか、
「あなたウチに居候の身でしょ?その辺わきまえてもらえませんか?!朝から辛気臭いお経を聞かされる身にもなって下さいよ!」

などと言いたい放題です。

そればかりか、一行の間には無気力や不品行まで蔓延っています。

八戒は四六時中その辺に寝っ転がっていますし、鈍悟浄は夜になると「買い物」に出かけていきます。


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女犯という戒律を破る悟浄に対し、法師は咎めましたが、
「僕を騙してあんな女をあてがったのはあなたでしょ?今更何言ってんすか?」
と反発されてしまいます。

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未だに「あぁーん、あぁーん」という声が頭から離れない悟浄としては、
「思い出」を塗りつぶさなければならないという強迫観念のようなものを抱えていたので無理もない話です。

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ネトウヨ悪鬼の打倒を志した情熱、それによって作られた結束も、どこかへ行ってしまいそうでした。
これまで法師は人望や人徳といったものからは程遠い所業を繰り返してきたので自業自得です。

しかし悪鬼打倒、それによる界隈内での立場の向上をモチベーションとする法師はまだ諦めていません。

故郷の街を出たあの日、不甲斐ないながらも心安らかな生活を捨て、大儀と情熱に生きると誓ったのです。

そして、こんなときだからこそ、なんらかの成果が必要と考えました。

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役に立たない弟子どもに自分の有能さを見せつけることで、再び尊敬を勝ち取ろうしたのです。

法師は八戒の家のダイニングにて、蓮華座を組みました。

呼吸を整え、集中力を高めながら目を閉じます。

この様子を八戒は怪訝な目で見ていました。

冷蔵庫に飲み物を取りに行くのに丁度邪魔な位置に座っているので、事故を装って蹴っ飛ばしてやろうかと思いました。

(悪鬼に一矢報いるにしてもどうすれば…直接対決は避けたい。

 またあの悪い鬼のような女が現れるかもしれない。そんなことがあったら今度はおしまいだ!!糞便糞便ッ!)


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そもそも法師は鍵垢という綽名なだけあって、闘いに向いた性格ではありません。

考えれば考えるほど、臆病風が心の中を吹き抜けていきます。

法師はさらに深く自分の世界に入り込んでいきます。

(そうだ、私は鍵垢に閉じこもるしか能がない臆病な凡夫だ)

心の中で自分に向き合うと、一周回ってらしくもない謙虚な考え方が浮かんできます。

(それでいいのだ。鍵垢と複垢こそが私の持ち味。

 ならば授かった持ち味で往けばいいのだ。

 人生は配られたカードでなんとかするしかないのだ!)

何かを悟った法師は、開眼するとすぐに蓮華座を解いて勢いよく立ち上がりました。

丁度八戒が法師に意図的に躓こうとしていたタイミングだったので、
八戒は派手に台所に向かってすっころんでしまいました。

「いきなり立たんといて下さいよ!」

転んだ状態のまま八戒がキレていましたが、

「思いついたことがあるから、数日ほどこの家を留守にする。それまで待て」

法師はそう言って八戒の家から駆け出ていきました。

目指す先はもちろん鍵のかかったお堂です。


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お堂に着いた法師は戸を閉めて鍵をかけ、早速作業に取り掛かることにしました。

今回の作戦は複垢を大量生産し、それらで通報の術を大量に行うことで、
合蛇の垢を凍結に追い込もうという算段です。

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シンプルな一方で手間のかかる手段ですが、基本的に暇な法師にはうってつけです。
鍵垢→複垢→通報というコンボはある意味完璧な作戦と言えるかもしれません。

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法師のひざ元の四弦琴が、いつの間にか熱いビートを刻んでいます。

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久々に法師のテンションとボルテージが最高潮に向かっていきます。

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愛遊記 挿入歌
『ひゃくとんではち』
唄:鍵垢法師

複垢の数は そりゃやっぱり ぜったい がっちり多いほうがイイ!
具体的には そりゃはっきり きっかり たっぷりひゃくとんではち!

ヒマな時間が ありゃばっちり しっかり にっこり複垢をゲット!
だけどもたまにゃ ありゃ? うっかり すっかり がっくり複垢リセット

キミたち作ったことはぜんぶちゃんと覚えてる
本垢で間違えてログインしたこともあったけど、それはえーと忘れた

まだまだたくさんかならずどこかで複垢が要るはず

ひゃくとんではちで工作 ひゃくとんではちで通報
ひゃくとんではちの煩悩 めざして がんばろっ♪

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そしてお堂に籠って3日後、とうとう大量通報体制が整いました。

それまで作ったものと合わせて、奇しくも複垢の数が人間の煩悩の数を表す108個となったのです。

大偉業です。

30個目以降はめんどくさくなってキャラ設定が適当にはなりましたが、法師を中心としたひとり梁山泊のようなものです。

「さあやるぞ!108の力、思い知るがいい!!」

法師がいざ大量通報を開始しようとしていたところ、計算外の事態が発生しました。

タイミングがいいのか悪いのか、なんと合蛇が凍結してしまったのです。


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そもそも合蛇はパヨク界隈からもヘイトを買っていた存在です。

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法師の行動は全く関係なく、事態は推移していたのです。

拍子抜けした法師はせめて悪鬼やその周辺が悲嘆にくれる様を見ようとしましたが、
悪鬼周辺は落ち込んでいるかと思いきや、なぜかお祝いムードになっていました。

「ツイ廃から脱却できて良かったですね」

「今後は育毛に専念して欲しい」

「残念なことがあるとすれば、太ももが見れなくなること」

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「ネット断ちなんて無理無理」

「合蛇氏が凍結された理由には、どんなものが考えられるでしょうか?」

 ・奥さんが通報した

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 ・ヅラ疑惑

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 ・ふともも

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これまでの苦労が無になってしまった法師は脱力してしまいましたが、よくよく考えてみると、
大量通報による垢の凍結は、下手人が誰かはツイッター社にしかわからないということ、
大量に作成した複垢が存在するということから、上手くすると自分の手柄として弟子たちを騙せることに気が付きました。

どうせ騙す相手は馬鹿二人に過ぎません。

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一方そのころ、凍結により世界との交信手段を失った合蛇は、禁断症状にのたうち回っていました。

それまで廃人レベルで費やしてきたツイッターライフが喪われたことによる禁断症状に起因した、
三日三晩の苦しみののち、悪鬼から全ての頭髪が抜け落ちてしまいました。

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結果的にヅラ疑惑が現実化したのです。

そしてそのとき、異変が起こり始めました。

なんということでしょう。悪鬼の頭から抜けた髪が意思を持っているかのように練り動き、
建物のようなものを形作っていったのです。

そしてあれよあれよという間に、髪が抜けてしまったことと、ネットの禁断症状による怨念を依り代とした砦が出来上がったのです。

この「怨念の砦」はネトウヨ悪鬼の新たな居となりました。

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鍵垢の突破やIPの情報を収集出来たりするなど、なかなかのスペックを誇ります。

かくして、鍵垢法師一行とネトウヨ悪鬼の合蛇夏鬼の戦いは新局面に突入したのです。

次回予告:第十三回『子房遊戯』
リリース予定(たぶん、近いうち)